高山市/郡上市(岐阜) 烏帽子岳(1625.2m) 2021年5月22日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:44 駐車箇所−−6:29 斜面取付−−7:19 1580m鞍部−−7:28 烏帽子岳−−7:37 1580m鞍部−−8:01 林道−−8:49 大きな沢−−9:01 渡渉地点 9:06−−9:12 林道に復帰−−9:37 駐車箇所

場所岐阜県高山市/郡上市
年月日2021年5月22日 日帰り
天候曇後雨
山行種類藪山
交通手段マイカー
駐車場橋付近に駐車余地あり
登山道の有無ほぼ無し。林道以外は廃道化
籔の有無廃道区間は根曲がり竹藪
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメント鷲ヶ岳の東方、めいほうスキー場が北東側にある山。山頂東側の標高が高い位置まで林道が延びていて、そこから夏道があるらしいので無雪期に行ってみたが、夏道はほぼ廃道化しており濡れた根曲がり竹を漕ぐ羽目になった。また、林道にはほぼすべての沢で橋は無く路上を流れが横断しており、前日に大雨が降った直後で渡渉に苦労。特に帰路に選んだ林道では流量が多く長靴でも水没するするほどで、無雪期に登るなら渇水期となる秋から初冬しかお勧めできない




橋の袂に駐車 北に向かう林道入口。車止めの鎖あり
スキー場から上がってくる林道のゲート かなり古い標識。林道はこの会社が開いたようだ
会社所有の管理棟。明らかにメンテされていない ゲートから約800m地点で路面崩落。この先は廃林道化
その僅か先で大きな崖崩れ 標高980mの林道分岐。直進する
標高980mの橋。あるのが当たり前だと思うのだが・・・ 標高990mの林道分岐。往路は右へ。帰りは直進方向から
標高1140mの林道分岐。ヘアピンカーブする道へ入る 標高1210mの林道分岐。左へ
最初の沢。路面上を水が流れている 2つ目の沢。ロングスパッツ装着して渡る
3つ目の沢。走って横断 4つ目の沢。ここまで徹底して橋が無いとは
標高1290mの最後の林道分岐 僅かな距離で右手に薄い道がある。目印あり
入口付近は藪が薄い 標高1330m付近。早くも道とは呼べない状況
標高1450m付近 標高1520m付近。本格的に藪漕ぎ
標高1530m付近。動物が笹を倒したのか? 1680m鞍部。昔は標識があったはずだが棒だけ残っていた
烏帽子岳方面。今までよりマシな道に変わる 烏帽子岳山頂。道はここまで
三角点 多分北東を見ている。僅かに開けるのはこの方向だけ
1680m鞍部から1690m峰への薄い道 林道へ戻る
標高1290mの林道分岐。帰りは南へ下ることに 標高1240mの沢。幅が広く走り抜ける
標高1180m付近の倒木 標高1090mの沢。水量が多い
標高1010m付近。鹿の骨かなぁ 標高990m付近の沢。水量、幅、流れの3拍子揃っている
渡渉可能箇所を探して上流へ。この倒木は使えなかった さらに上流へ
流れが分散してここだけが唯一飛び越えられそうな幅だった 飛び越えた箇所を対岸から見る
左岸側。藪は薄い 林道目指して左岸を下流へ向かう
もうすぐ林道 林道へ出た
左岸側から見た林道。今の状態だと車でも横断できるのか疑問 ボケているが駐車箇所に到着


・烏帽子岳は先週登った鷲ヶ岳の東側にある山。地形図では山頂近くまで林道が延びていて、ネット検索の結果ではどうもその林道から夏道があるようだ。これなら雪が無くても問題ないので足を向けることにした。

・今週半ばに季節外れの大雨が降り、金曜朝まで雨が残って金曜夜時点で野麦峠は雨量規制で通行止め。よって安房トンネル経由で現地入りすることに。高山から国道41号線を萩原まで下ってから国道257号線、472号線と入って郡上方面へ。めいほうスキー場の案内で国道と別れて登っていく。当然ながら今の時期は雪は無くスキー場としての営業は行っていないが、シーズン以外はキャンプ場等の営業をやっているようだった。

・車道をスキー場の突き当りまで進むと夜間進入禁止の看板あり。不法投棄するわけでもないのでそのまま進むと立派な橋を渡る。道は舗装で広いが周囲から木がはみ出し、路面はひび割れて廃道寸前っぽい光景。これが目的の林道だと思っていたがカーナビ画面を見ると一本南の林道らしい。これと目的の林道をつなぐ林道もあるが、入口には鎖の車止めあり。

・それではと目的の林道の正規の入口を探すが、真っ暗な中で一面が駐車場のようなスキー場の平坦部ではどこが道なのか皆目分からなかった。探すのは諦めて先ほどの車止めのある林道から目的の林道へ入ることにし、大きな橋のたもとに駐車。スキー場内ではないので問題ないだろう。

・翌朝、曇っているが雨は降っていない。予報では雨の可能性もあって心配していたがよかった。もちろん雨具は持つ。長靴にするか登山靴にするか悩んだが、今回は林道歩きが長いので登山靴とした(結果的には失敗)。

・林道入口には私有地につき立入禁止の看板があるが、林道には草が生えて車の往来は少ないことを物語っているので、ただ単に通過するだけなら問題なかろう。途中、バンガローのような建物があった。

・やがてスキー場との境界で目的の林道に合流。スキー場側にゲートがあった。これから歩く林道の周囲は会社の所有らしく、入口には看板と建物あり。これなら道の程度は期待していいかな。

・ところがゲートから800m付近で林道が大きく破損し、車両通行不可能になっていた。最初は道路の底が抜けて大穴が開き斜面側をトラバース。そのすぐ先は大きな落石で道は完全に塞がれていた。これでは自転車でも通過不能だ。落石は比較的新しそうだが路床崩壊はちと古そうで、林道を直すつもりがあるのか疑問符が付く。まあ、どのみちゲートが閉じているので一般人は歩くしかないが。

・林道は複数の分岐があり、登山口となる地点へ到達できるルートは複数ある。どこを選ぶか悩むところだが、往路は遠回りにならない範囲で最も北側を通ることにした。この選択に特に理由は無かったが、結果的には大雨直後の増水時にはこのルートが唯一の正解であったことが帰りに判明する。

・標高980mの林道分岐で左へ。右の道は廃林道っぽい。この少し先で橋を渡る。林道が沢を横断する箇所に橋があるのは当然だと思うが、この界隈の林道ではそれが例外的なことが後に判明する。

・標高980mの林道分岐右へ。道の程度は左右どちらも同じ程度。車両が入れない状況になってそれほど長期間経過していないようで、路面状況は普通車でも走行可能なレベル。ちなみに帰りはここを直進方向から下ってきた。

・標高1140mの分岐はヘアピンカーブにあり、ヘアピンカーブしてUターンするような林道へ入る。標高1210mの林道い分岐は左へ。まともに地図を読まないと迷いそうなほど林道分岐が多い。

・標高1210m付近からは傾斜が緩まり南下するルートに変わる。ここでいくつか沢を横断するのだが、林道なので橋があるのが当然だと考えていたが、現場に行ったらことごとく橋が無い! コンクリートの路面上を沢が流れている。小さな沢なら跨ぐことが可能だが、水量が多いと飛び越えることもできない。これなら長靴の方が良かったと後悔するが遅い。仕方がないので足元をロングスパッツで覆って短時間なら水が侵入しないように防御し、助走をつけて飛んで1歩だけは水の中に着地してもすぐに水から抜け出した。幸い、靴の中には水は入らなかった。こんなことが数回繰り返されたが、ここは大雨の後に来る場所ではなく、秋などの渇水期に来るべき場所だった。

・標高1290mで分岐する林道へ入ると、ちょっと進んだ地点で林道は一面の根曲竹に覆われて完全に藪化し、その手前で右に上がる踏跡を発見。何の標識も無いが目印がぶら下がっていてここが登山口らしい。もっとまともな道かと予想していたが、登山道ではなく林業作業道のようだ。一応、根曲竹は刈られているが完璧ではなく体に触れる葉があり、昨夜までの雨の影響でまだ葉が濡れていて衣類を濡らす。はみ出しがもっと酷くなったら雨具着用が必要だろう。今のレベルで山頂まで道が続いてくれればいいのだが。

・道は良好とまでは言えないが、周囲の濃い根曲竹藪を考えるとこのレベルの道があるだけで大助かり。毎年手入れがされるわけではなさそうだが完全放置でも無さそう。今はタケノコが出てくるシーズンなので、できるだけ目についたタケノコを折りながら進んでいく。

・道は徐々に根曲竹のはみだしが酷くなってきて、標高1330m付近ではほとんど藪漕ぎ状態になったので雨具を着用。まあ、ここまでで結構濡れてしまったが。部分的には明瞭な道が残っている一方で、場所によってはほとんどルートが分からないような笹の被り方の場所もあり、藪に手慣れた人でないと容易にルートを外してしまうだろう。微かでも道があるのと無いのでは藪を漕いだ時の抵抗は大きく異なる。上を見るのではなく足元を見て根曲竹の隙間を見分けるのがポイントだ。

・標高1530m付近で動物がやったのか根曲竹が寝て巣のように丸く集まった物体を発見。犯人は熊ではないよなぁ。今日も熊鈴は付けている。

・標高1680m鞍部で主稜線に到着すると同時に道の状態が良くなった。相変わらず根曲竹がはみ出してはいるが、主稜線上では道が分からなくなるほど藪化している部分は無かった。ネットの時期ではここに分岐標識があったはずだが、今は杭の部分が残るだけだった。右が烏帽子岳山頂、左は1690m峰だ。ネットで見た記録によるtpその南にある1595m峰を気良烏帽子岳と呼ぶそうで、この道は少なくともそこまで続いているそうだ。まあ、この状態では道とは呼べないが。

・今までより幾分歩きやすくなった道を山頂へ。いつの間にか周囲はガスの中で、これでは根曲竹の葉が乾くことは期待できない。まあ、雨が降っていないだけマシかな。もう大きな登りは無く、緩やかに進んで根曲竹が広い範囲で薄くなり地面が見える広場が烏帽子岳山頂であった。

・山頂の刈払いは昔は完璧だったのかもしれないが、今はその後に生えた根曲竹が覆い始めている。でも三角点はまだ藪に埋もれず簡単に見つかった。これまでの不完全な刈払いの道はここまでらしく、その先は隙間のない根曲竹の密集地だった。山頂標識は手製の小さなものが一つだけだった。

・帰りは林道までは往路を戻る。相変わらず藪が濃い場所では微かな道の痕跡を辿るのに苦労する。残念ながら天気が下り坂で雨が降り出してしまい、帰りも雨具を着用したままだった。

・林道に出て、帰りは往路とは逆回りで南側の林道を下ることにした。これは往路の林道で沢に橋が無く渡るのに苦労したからであったが、この決断は大失敗だった。この時点で地形図をよ〜く見れば気付いたはずだったのだが、帰りのルートは往路より下流で沢を横断する箇所があり、これまで同様に橋が無ければ往路以上に水量が増加して渡るのが難しくなっていると予想できたはずだった。

・最初の難関は標高1240mの沢。往路の沢より幅が広く数歩ほど水の中を走り抜ける必要があったが、ロングスパッツのおかげで浸水せずに済んだ。

・次は標高1090mの沢。こっちはもっと幅が広くて5,6歩は必要だった。深さは足首程度なのでロングスパッツで防御すれば瞬間的なら辛うじて浸水は防御可能。残念ながら林道近くで沢を飛び石等で簡単に渡れそうな場所は見られない。林道をできるだけ速く駆け抜けるしか手段は無いので、それまで同様に思い切ってダッシュで横断し、靴内部への浸水は免れた。

・次の標高990mの沢が今回のコース上、最難関だった。先ほどの沢とは水量が段違いで10歩でも渡れないだろうし、水深は脛程度で流れが速く、水面下の路面に苔等が生えて滑りやすかったらコケて全身びしょ濡れだろう。さすがにこの状況では靴を浸水させないのは不可能で、諦めてジャバジャバと渡ろうかとも考えたが、上流に渡れそうな場所が無いか探すことにした。水量、流れの速さから考えて横断は相当困難だろう。

・沢の右岸を遡上していくと倒木を2本発見したが、1本は位置が高過ぎて木に取り付くことができず、もう一本は位置が逆に低すぎて水面ギリギリで、平均台のように木の上を立って渡るしかないが、私には無理な芸当だ。

・さらに上流に移動し、流れがいくつかに分散して水量が減り、川幅が狭くなった箇所を発見。しかし幅は2m程で跨げる距離ではなく跳躍が必要。しかし今いる右岸側は切り立って助走できる場所がないし、最短の着地点は平地ではなく石の上。かなりの難易度だが、ここを渡ればその先は幅はあっても流れは浅くて石が多く、容易に左岸に這い上がることが可能だ。

・おそらくこれ以上条件がいい場所はないと覚悟を決めて勢いをつけて対岸へ。予想通り最も近い石まで届かずに最初の一歩は水の中だったが、態勢が大きく崩れなかったのですぐに足を引き上げて岩の上に避難することができ、結果的に靴が浸水することは無かった。今まで色々な沢で何度も渡渉を経験したが、その中でも最難関であるのは間違いない。ただし、ここで失敗しても濡れるだけで流されたりはしなかっただろうが。

・雨が降りしきる中、左岸の薄い藪を下流方向へ向かって林道へ復帰。もうこの先は渡渉が必要な場所はなく、僅かで往路の林道に合流した。

・その後は往路の林道を戻って車へ。いつの間にか天候が回復して日差しが出ていたが、その後はまだ雨が落ちてきたりと不安定な天候だった。


まとめ
 烏帽子岳を狙うなら秋から初冬にかけての渇水期を狙うのが絶対条件。藪を完全回避するなら積雪期から残雪期を狙うしかないだろう。根曲竹に覆われた道が再整備されるのは、崩れた林道が復旧してからだろう。逆に言えば林道が放置されるようなら山頂への道も廃道化の一方だろう。

 

都道府県別2000m未満山行記録リスト

 

日付順2000m未満山行記録リスト

 

ホームページトップ